ありがとう
祖母の告別式の日は雲ひとつない快晴だった。
2/4で96歳になったばかりだった祖母。
明治、大正、昭和、平成、時代の移り変わりと共に生きた。
戦争も経験し、大変な時代を生き抜いた。
最近はめったに会いに行かなくなっていた。
でも、祖母との思い出は沢山あるように思う。
すーっと伸びた長い指。白くてシミだらけのやわらかい手。
祖母の手が大好きだった。手の皮をひっぱると、なかなか元に戻らない。子供の頃は、それがおもしろくて何度も何度も祖母の手の皮をひっぱった。
ジャイアンツが好きで、夏にはテレビの前にちょこんと座って一生懸命応援してた。“頼みますよ?、清原さん。”いつもは消え入りそうなか細い声。でも、野球のゲームの時は別人のようなおっきな声。ぴょんと飛び上がって、“あれ?、そこで打たんとっ!”
夏にいつも着ていた淡いブルーの麻のワンピース。小さな細い祖母にぎゅっと抱きつき、顔をこすり付けるとサラサラしてて気持ちよかった。
コーヒーが好きで、よく飲んでた。両手でカップを口元まで持っていく仕草は、ハムスターのようでかわいらしかった。
大人になってからも、遊びに行く度にお小遣いをくれた。“私は持ってても使わんからねぇ”と、甲高い、だけどか細い声でそう言ってティッシュに包んだ紙幣数枚をいつもささっと渡してくる。少ない年金の中から、私や姉が遊びに来るからとあらかじめ用意しておくのだ。
思い出を数えていると、きりがないほどだ。
表現できない深い悲しみが、心の奥底からヒシヒシと。
おばあちゃんのやさしさ、生きる姿勢、しっかり届いてますよ。
たくさん、たくさん、ありがとう。ありがとう。

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